第150章 人を見くびるな

「どこへ行くの? 今日この家を出たら、二度と戻ってこないでよ!」

橋本佑香が、遠野周生の背中に向かって叫んだ。

遠野周生は取り合わない。振り返りもせず、そのまま玄関の向こうへ消えていく。

「母さん、怒らないで……身体に障るよ。父さんも今は頭に血が上ってるだけだと思う。落ち着いたら、きっと帰ってくるから」

遠野彩芽は怯えたように、慌てて橋本佑香をなだめた。

「ふん。戻りたきゃ戻ればいいし、戻らないならそれまでよ。うち以外に、あの人が行く場所なんてあるの?」

橋本佑香は不機嫌そうに鼻を鳴らす。

彩芽も分かっていた。今この家を支えているのは母だけだ。遠野家は落ちぶれたとはいえ、橋本家...

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