第166章 はやく医者を呼んでくれ

「――でないと、この病院の入院病棟に、ベッドが二つ増えることになるわよ」

夜見千絢はぞっとするほど冷たい目で、まるで世間話みたいな調子で脅した。

「小娘が一人で、私を脅す気?」

「育てたのは私よ。あんたの性根くらい分かってる。私に向かって粋がるには、まだ早いわ」

「もういい。私の言う通りにしないなら……覚悟しときなさい」

「毎日ここに来て、傷の手当てしてるのも知ってる。明日も待ってるわ。――その車椅子、ずっと手放せなくなるかもね」

橋本佑香が、目の奥をどす黒く濁らせて言い放つ。

「その程度の口でよく言えるな。遠野家も橋本家も、T市に居座る気はもうないってことか」

夜見雲の目が...

ログインして続きを読む