第189章 賠償しなければならない

「……病院にまで来るとは、いい度胸じゃねぇか」

橋本祐徳は奥歯を噛みしめ、吐き捨てるように言った。

姉はまだ保釈中で通院扱いのまま。遠野周生だって拘置されたままで、いつ出てこられるかも分からない。――そんな状況で、あの女がのこのこ退院の手続きに来る? 何しに来た?

この二日間、走り回っても事が綺麗に片付かなかった。その苛立ちが、胸の奥でどす黒く煮えたぎっている。

夜見千絢の姿を捉えた瞬間、祐徳の目がじわりと赤く染まった。足元のアクセルが、勝手に深く踏み込まれる。

車はうなりを上げ、一直線に彼女へ突っ込んでいった。

異変に気づいた夜見千絢が振り向く。視界いっぱいに迫る車体。

「―...

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