第29章 良くないの?

運転手が贈り物を積み終えると、車を発進させ、夜見家の旧宅へと向かった。

そのときになって夜見美羽は気づく。さっきまで両手が荷物で塞がっていて、朝食を買いそびれていたのだ。朝から口にしたのは牛乳1パックだけ。全部、遠野千絢のせい――そう思うと腹が立つ。

空腹のまま会うことになるのか、と考えただけで憂鬱だった。

道中、美羽は頬をぷくっと膨らませたまま、一言も口をきかなかった。

二十分ほどして、遠野千絢の車がゆっくりと夜見家旧宅の敷地へ滑り込む。

白坂家の旧宅とは違い、夜見家の旧宅はモダンな意匠の豪奢な邸宅――いや、邸宅というより荘園だった。

果てが見えないほどの敷地を前に、千絢は内心...

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