第33章 本名に戻す

夜見のおじい様と大奥様は、遠野千絢の言葉を聞くなり、そろって彼女へ視線を向けた。目に浮かぶのは驚きだけだ。これほど出来のいい孫娘が、なぜ仕事を辞める必要があるのか――。

二人の表情を見て、雲田伊津美が事情を補足する。

「槙夫が千絢の家にデザイン会社を譲ることになったの。それで、前の仕事は辞めてもらったのよ。心配いらないわ。千絢は本当に優秀だから」

経緯を聞いた夜見のおじい様は、腹の底から朗らかに笑った。

「なるほどな。じゃあ千絢はデザインもできるのか」

遠野千絢の新しい一面を、またひとつ見つけたような口ぶりだった。

夜見美羽は、遠野千絢が能力不足で切られたのだと勝手に思っていた。...

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