第35章 夜見家のお嬢様だったとは

あの年でこれほどの腕前とは、夜見家の誇りだ。

その腕前に気づくと、夜見家の面々の表情が、誇らしげなものに変わっていくのが分かった。

白坂柊真は思わず眉をつり上げる。

……どういうことだ。

彼らが「いい医者を見つけられた」と喜んでいるだけ――そういう話なのか?

だが、ここはT市の夜見家だ。腕の立つ医者の一人や二人で、夜見おじい様がここまで驚くとは思えない。それに……この一家が、彼女をあんなに親しげに呼ぶ理由がない。

遠野千絢――いったい何者なんだ。

夜見おじい様は満足げに笑みを深めると、千絢の素性を語るより先に、気遣うように問いかけた。

「君のおじいさんの具合はどうだった?」

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