第36章 夜見千絢を連れ去る

夜見美羽は、おじい様がその言葉を受け入れる気配を見せたことに、胸の奥がきゅっと締めつけられた。堪えきれない悲しみがこみ上げ、彼女は白坂柊真を見上げる。潤んだ瞳に想いを滲ませ、声を落として問いかけた。

「柊真……何か言い間違えてない? 今日来たのは、おじいちゃんと私たちの婚約の話をするためじゃなかったの? どうして……いきなり破談だなんて……」

今年は、二人が約束した「婚約の年齢」にちょうど届く。美羽は当然、今日こそ話が進むのだと思っていた。なのに彼が口にしたのは、婚約ではなく――解消。

信じたくなくて、思わず柊真を庇うような言葉が出てしまう。

けれど白坂柊真は、美羽をまっすぐ見て、冷...

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