第38章 1円たりとも欠けさせません

じいさんがその話題になると興奮気味になるのを見て、白坂柊真は今回は拒まなかった。

「……分かった」

どうせ、これから先に夜見美羽を外へ連れ出すかどうかなんてじいさんには分からない。ここで張り合う必要はない。ひとまずはじいさんの顔を立てておけばいい。

その頃、廊下では夜見千絢が大塚翔太からの電話に出ていた。

「何?」

『撤資の件で、ちょっと厄介なことになってまして』

大塚翔太の声は重い。

『遠野家のあの恩知らずどもが、ずっと工場を狙ってるんです。こっちが少しでも動けばすぐ会社に押しかけてくるし、解約の手続きもわざと引き延ばしてる。撤資のタイミングで、こっちに噛みついて一発かまそう...

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