第53章 手を出す必要ある?

小林佑也は、夜見千絢が遠野家の令嬢という肩書きを失った途端、あっさり彼女を捨てて遠野彩芽に乗り換えた男だ。

「今さ、衝動的にさ……そのブツが今君の手元にあるって、あいつらに教えてやりたくなるんだよ。腰抜かすほど悔しがるだろうなって」

大塚翔太はそう言いながら、堪えきれずに笑った。

「やめて。今は、何も知らずに踊らされてるのを眺めてる方が面白いの。余計なことして、私の楽しみを壊さないで」

夜見千絢が釘を刺す。

「分かってるって。言ってスッキリしたかっただけ」

「それで、この美術品はどうする?」

翔太が、彼女の意向を確かめる。

「いつも通り。倍で流す」

千絢は得意げに口元を吊り...

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