第55章 希少な宝物

夜見千絢は夜見美羽の意見を聞きながら、ちらりと彼女を見た。――意外と、少しは分かっているらしい。

それから視線を雲田伊津美へ移し、穏やかに尋ねる。

「母さん、この絵、気に入った?」

「ええ、好きよ」

夜見千絢が好きなものなら、雲田伊津美も好き。理由なんて、それで十分だった。

「じゃあ、この『炎の中からの蘇り』、母さんにあげる」

夜見千絢は微笑み、絵をそっと雲田伊津美の手に渡した。

戻ってきてからというもの、贈り物をくれるのはいつも雲田伊津美のほうだった。自分はまだ、まともに何かを返せていない。

今日、競売で『炎の中からの蘇り』を見つけた瞬間、千絢は思ったのだ。――これを、お母...

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