第68章 破産したのに

昨日戻った時点で、大塚翔太に一本入れておくべきだった……。

「今から、俺たちにできることは?」と大塚翔太が尋ねる。

「遠野家は破産したとはいえ、これまでにそれなりに蓄えはあるはずよ。吐き出させて。私の穴埋めにする」と夜見千絢は淡々と指示した。

遠野家の金は、もともと全部――彼女が稼いだものだ。返させるのは当然。

「それだと、向こうは生活できなくなる。遠野奏斗はどうする?」大塚翔太が重ねて聞く。

遠野家を哀れんでいるわけじゃない。ただ、遠野奏斗も遠野家の人間だ。そして何より、夜見千絢がいちばん近しくしていたのが遠野奏斗だと知っている。

彼が傷つくのではないか――それが心配だった。

...

ログインして続きを読む