第70章 用でもあるの?

「いや、連絡してないよ。前に母さんが俺の携帯を取り上げたからさ。千絢に繋がったの、昨日が初めて」

「……どうしたの、父さん。千絢に用でもあるの?」

遠野奏斗は、遠野周生が夜見千絢のことを探っているのを敏感に察した。

千絢が遠野家を出ていったとき、父は一度も彼女のことを訊かなかった。それなのに今さら急に話題にする。勘ぐらないほうが無理だ。

「いや、しばらく消息を聞いてなくてな。ちょっと気になっただけだ」

周生は穏やかな顔のまま、話を続ける。

「それでさ。昨日、千絢と一緒に来た男……あれ、本当に実の兄なのか?」

「そうだと思う。千絢がそう言ってたし、顔立ちも少し似てた」

奏斗はす...

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