第75章 知っていても彼らに伝えられない

夜見槙夫は雲田伊津美を見やり、彼女の言外の意図を汲み取って口を開いた。

「遠野家の件は、俺の立場じゃ深入りしづらい。ただ……遠野奏斗のほうなら、こっちで人を動かして、きちんと手配してやれる」

「千絢のことは心配しなくていい。今すぐ話を通しておく」

そう言うと夜見槙夫はスマホを取り出し、どこかへ電話をかけた。

翌日。そよ風が頬を撫で、陽射しはやわらかい。

夜見徹也はヘリで屋敷へ戻ってきた。

「母さん、千絢は家にいる?」

降り立つなり、徹也は真っ先にそれを尋ねる。

「朝早いんだから、もちろんいるわよ。ただ、まだ起きてないみたいね」

雲田伊津美は穏やかな声で答えた。

「朝ごはん...

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