第76章 あのスポーツカーは誰のもの

夜見雲の件で、すでに遠野家の連中には疑いの目を向けられている。そんな状態で、また夜見雲に頼みごとをさせるなんて論外だ。

あの日は遠野周生が一人だったから、まだどうにでもできた。けれど夜見徹也まで、遠野家のあの数人に揃って目撃でもされたら――余計な火種が増えるかもしれない。

そうなったら、もっと面倒だ。

だから、徹也に送ってもらうわけにはいかなかった。

「……分かった。じゃあ、道中気をつけてな」

夜見徹也が心配そうに言う。

「うん。お父さん、お母さん、行ってくるね」

夜見千絢はそう告げて、外へ向かった。

「兄さん、あとでヘリの操縦の練習に行くんだけど、時間あったら見に来る?」

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