第79章 その必要はない

「もちろん知ってるよ」白坂柊真は、何でもないことのように淡々と答えた。

そりゃそうだ。彼は彼女と遠野奏斗の関係を知っている。なら、二人がどの病室にいるかも知っていて当然だった。

「……で、わざわざ何しに来たの?」夜見千絢が問いかける。

「さっき助けてやっただろ。礼の一つもないのか?」白坂柊真はわずかに眉を寄せ、彼女を見た。

夜見千絢は鼻で笑う。

「いらない。あんなの、私には手出しできない」

「そんなに強いのか?」白坂柊真の目に、疑い半分の面白がる色が浮かぶ。

「私の本気は、まだ見せてないだけ」

夜見千絢の瞳が、すっと鋭くなる。

「へえ。そんなに強いなら、さっきは見せ場を作っ...

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