第94章 どんどん下がってる

夜見千絢は、喉まで出かかった言葉をそのまま飲み込んだ。

白坂柊真の生い立ちを聞いて、彼がいつも冷たい表情を崩さない理由が、ようやく腑に落ちたのだ。

「だから……白坂おじい様以外、ほとんど身内らしい身内もいないの。時間があるときでいいから、柊真と少しでも話してあげて」

「お金はあるけど、あの子はね……ほんとに可哀想なのよ。そばに、心を許せる相手が一人もいないんだから」

雲田伊津美は感情を込めてそう言い、目尻が今にも赤くなりそうだった。

夜見千絢はそっと歩み寄り、伊津美の手を握る。

「……今なら、柊真の気持ちが分かる」

千絢も幼い頃から、誰にも愛されない時間を過ごしてきた。あの空っ...

ログインして続きを読む