第104章

意織はベッドのヘッドボードに半ば身を預けていた。

ドアの鍵がカチャリと微かな音を立てる。

入ってきたのは、白川家の顧問弁護士である張だった。

「奥様」

ベッドの傍らに立ち止まった張は、どこか複雑な面持ちを浮かべている。

意織は返事もせず、まぶた一つ動かさなかった。

白川家が今どんな状況にあるかなど、彼女が誰よりも分かっている。

父が拘置所に入ってずいぶん経つ。こんな時期にわざわざ弁護士をよこしたのは、決して娘の体調を気遣ってのことではないはずだ。

「白川様から、奥様へ伝言を預かっております」

反応を示さない意織をよそに、張は鞄から書類を取り出した。

意織はようやく顔を向け...

ログインして続きを読む