第105章

意織の目尻から、透き通った涙がひとしずく、こっそりと滑り落ちた。それは瞬く間にこめかみへと吸い込まれ、跡形もなく消え去った。

手術室の赤いランプが消灯した。

ストレッチャーで運ばれてきた意織の呼吸は、酸素マスクを曇らせることすらできないほど弱々しい。

深は廊下の中央に立ち尽くしていた。

その瞬間、彼女の心拍を確かめに歩み寄ることすら恐れたのだ。

傍らで牧川展行が会社の緊急会議について小声で何かを告げていたが、彼の耳には一言も入っていない。ただ、紙のように青ざめたその顔を食い入るように見つめていた。

VIP病室。精密機器が刻む無機質な電子音だけが、部屋の空気を満たしている。

深は...

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