第112章

牧川展行は一瞬呆然とし、自分の耳を疑った。

「どこへお連れするのですか」

「城西の別邸だ。何人か見張りをつけろ。一歩も外に出すな。外部との接触も一切絶たせろ」

深の声はひどく平坦で、いかなる感情も読み取れなかった。

牧川展行の足取りが、半歩遅れた。

長年深に仕えてきたが、ボスの思考に追いつけないと感じたのはこれが初めてだった。

誘拐、そして故意の傷害。どれ一つ取っても、夏菜が刑務所で十年や八年は過ごすことになる重罪だ。

これほどの手間をかけて捕らえたというのに、結局は場所を変えて閉じ込めるだけだというのか。

「一ノ瀬社長、奥様のほうは……」

牧川展行はたまらず口を挟んだ。

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