第15章

「それなら、円満な結末を迎えられないだけじゃない。私からの最後の敬意すら失うことになるわ」

意織は立ち上がった。

「深、自分でよく考えて」

言い捨てると、意織は彼の返事を待たずに社長室を後にした。

廊下には、ガラス窓越しに黄金色の陽光が降り注いでいる。

ハイヒールを鳴らして歩く意織の足取りに、迷いは一切なかった。

この駆け引きは、自分の勝ちだと分かっている。

深には負けられない理由があるが、彼女にはもう、失うものなど何もないのだから。

……

意織の小さなマンションは旧市街エリアにある。都心からは外れているが、その分静かだった。

引っ越して三日目。ベランダに置いた観葉植物の...

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