第28章

あの時の命の恩人が夏菜の父親ではないのなら、彼女は一体何の権利があって、この三年間も一ノ瀬家で我が物顔に振る舞ってきたというのか。

「もう一つ、音声データがある」

悠はフォルダ内の別のファイルを指差した。

意織がクリックすると、ノイズ混じりの音声が流れ出した。

『一ノ瀬社長が目を覚まして尋ねてきたら、あんたが助けたって言うんだ。この手柄さえ自分のものにすれば、一ノ瀬家が一生の富と名誉を保証してくれるぞ』

意織は全身の血が凍りつくのを感じた。

最初から最後まで、すべてが仕組まれた罠だったのだ。

「意織、どうするつもり?」

悠が心配そうに見つめてくる。

意織はノートパソコンを閉...

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