第38章

「白川さん、よく見えた?」夏菜は声を潜め、耳元に顔を寄せて挑発的に囁いた。「深って本当はすごく優しいの。でも、その優しさは絶対にあなたには向かない。この写真は彼が酔い潰れた日に私が撮ったものよ。私のそばにいるときだけ、本当に安心して眠れるって言ってたわ」

意織は勢いよく契約書を閉じ、写真を裏返してデスクに叩きつけた。

顔を上げ、一切の温度を感じさせない冷たい視線で夏菜を射抜く。

「新谷さん、盗撮の腕前を自慢しに来ただけなら、もう帰って。仕事の打ち合わせなら、黙っててちょうだい」

夏菜は一瞬虚を突かれた。意織がここまで冷静でいられるとは予想外だったらしい。

彼女は鼻で笑い、立ち上がっ...

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