第43章

意織が身支度を整えて一階へ降りると、深はリビングのソファに座っていた。

「彼女の具合は?」

「軟部組織の挫傷だ。ギプスをしている」深はこめかみを揉みながら、しゃがれた声で答えた。

「へえ、それは運が良かったわね」意織は水を一口飲んだ。冷たさが体の芯まで染み渡る。

深は顔を上げて彼女を見た。

「意織、その皮肉めいた言い方はやめられないのか? 夏菜は……」

「分かってるわ」意織はグラスを置き、彼の言葉を遮った。「彼女のお父様があなたを救った。だから彼女がたとえ人殺しや放火をしたとしても、あなたにとっては情状酌量の余地があるんでしょう。深、何度も念を押さなくていいわ。私という『一ノ瀬の...

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