第58章

その頃、本邸の二階。

意織は寝室の壁の隅に寄りかかっていた。下腹部の鈍い痛みはすでに引き、代わりに麻痺したような冷たさが広がっている。

部屋の照明は一つ壊れており、チカチカと不規則に点滅していた。

使用人が交代し、廊下の見張りが煙草を吸いに行った隙を突き、彼女はベッドの下の一番奥の隙間に手を伸ばし、硬いものを手探りで引き当てた。

それは数日前、庭師の大野が庭木を手入れしていた際、うっかりポケットから落とした古いガラケーだった。

画面には幾つもひびが入り、充電口も緩んでいる。だが今の意織にとって、それはどんな宝石よりも価値があった。

震える指先で、脳裏に焼きついた番号を打ち込む。

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