第63章

深が先に口を開いた。

その問いかけはどこかぎこちなく、長年上に立つ者特有の、施しを与えるような響きすら帯びていた。

それでも、意織は思わず息を呑んだ。

ふと、三年前のことが脳裏をよぎる。ふたりが婚姻届を出したばかりの頃だ。

当時の深も冷淡ではあったが、今のように彼女を骨の髄まで痛めつけようとするほどの酷薄さはなかった。

ある夜、高熱を出して意識が朦朧としていたとき。誰かが額に冷却シートを貼り、温かい薬を口に含ませてくれた感覚が、微かに残っている。

翌朝目を覚ますと、深はベッドの傍らで新聞を広げており、医者にはもう診せたのだと淡々と告げた。

あの頃の、互いを尊重し合うような距離感...

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