第69章

山崎はその袋の中身を見て、唇を震わせた。

「これ……体を極端に冷やす劇薬、これほどの量を入れれば、奥様の命に関わります。お腹の子も……」

「それはあの女の運が悪かっただけよ」

夏菜は山崎の言葉を遮り、その瞳に冷酷な光を走らせた。

「一ノ瀬の奥様という座に、あの女は長く居座りすぎたわ。流産さえすれば、深は彼女をただの壊れたガラクタとしか思わなくなる。二度と見向きもしないはずよ。その時が来たら、とびきりのプレゼントを贈ってあげる。彼女が『自発的』に一ノ瀬家を出て行くようにね」

山崎は、自分にもう後戻りする道がないことを悟っていた。

利益がすべてを支配するこの牢獄において、良心など最も...

ログインして続きを読む