第73章

意織が眉をひそめ、何か口を開くより早く、夏菜が唐突に手を伸ばして彼女の手首を掴んできた。

「何をするの」

意織は無意識にその手を振り払おうとした。

二人が揉み合ったその瞬間、夏菜はまるで強い力で突き飛ばされたかのように、大きく後ろへ仰け反った。

そして、硬いキャビネットの角に腰を強く打ちつけ、鈍い音を立てて床に倒れ込んだ。

「きゃあっ――!」

夏菜は悲鳴を上げ、両手で下腹部をきつく押さえた。その顔色は瞬く間に紙のように青ざめていく。

深がドアを押し開けて入ってきたのは、まさにその時だった。

夏菜は床に倒れ、身体を丸く縮こまらせている。額からは大粒の冷や汗が滲み出ていた。

彼...

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