第76章

『一番重要なのは、大声で意織の名前を叫ぶことよ』

午後。

深は、膠着状態が続いていた役員会議からようやく抜け出した。

三日間も一睡もしていなかった。本来なら本邸に戻ってシャワーを浴びるつもりだったが、車を走らせている途中、何かに取り憑かれたようにハンドルを切り、病院へと進路を変えていた。

あの女の顔が見たかった。

口ではすべての特権を剥奪し、「平凡」な惨めさを味わわせてやると言い放ったものの、胸に刺さった棘はどうしても抜けなかった。

彼女が屈服する姿を見たい。弁解を聞きたい。いや、ほんの少しでも自分にすがるような素振りを見せてほしかった。

車が病棟の入り口に停まった瞬間、深は階...

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