第87章

夏菜が角に身を潜め、病室で繰り広げられる『心温まる』光景を睨みつけながら、爪が食い込むほど強く拳を握り締めていた。

大奥様が倒れれば、その元凶である意織を深が完全に疎むようになると思っていたのに。

まさか、彼が変わり始めるとは。

彼女は鼻で笑うと、スマホを取り出してある番号へ発信した。

「あの老いぼれがそこまであの孫嫁を気に入っているなら、見せてあげるわ。理想の孫嫁の、裏の顔ってやつをね」

病室。

意織は再び大奥様のベッドの傍らに腰を下ろした。

深は傍らのソファに座り、手には報告書を持っている。

彼は、これまで意織という人間をまともに見たことがなかったと気づいた。

彼女をた...

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