第9章

執事の長谷川が足早に入ってきた。その顔には、どこか妙な色が浮かんでいる。

彼の報告を待つまでもなく、ダイニングの入り口に夏菜の姿が現れた。

今日は純白のワンピースにライトグレーのカーディガンを羽織り、長い髪を下ろしている。ほとんどすっぴんに近い薄化粧が、その顔立ちをいっそうか弱く見せていた。まるで絵に描いたような悲劇のヒロインぶりだ。

深の眉間が、たちまち険しく引き結ばれる。

夏菜は深には目もくれず、意織をじっと見つめた。そして、誰もが反応するより早くテーブルのそばへ駆け寄ると、膝を折り、そのまま床に土下座しようとした。

「白川さん、ごめんなさい。全部私が悪かったの」

意織は咄嗟...

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