第92章

棘のある従順さは、真正面から衝突されるよりも深く、深の胸を苛立たせた。

病室を出ると、ドアの前で控えていた助手がすぐさま歩み寄ってくる。

「調べはついたか」

「西園寺個人の口座から支払われていました」助手はうつむき、深の顔色を窺うことすらできない。「それに、西園寺は最近、臨海市で最も腕の立つ離婚弁護士と接触しているようです」

深の足がぴたりと止まった。

「離婚弁護士だと?」その瞳に冷酷な光が走る。「悠の奴、まだ懲りていないようだな」

病院の向かいにあるカフェ。

悠はガラス張りの窓際に座り、深の車列が走り去るのを見送っていた。

その手には一枚の名刺が固く握りしめられている。臨海...

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