第11章 女好きの社長

次の日の明け方、藤原青樹はすでにベッドにいなかった。

佐藤絵里は洗顔を済ませて階下に降りると、ちょうど階段を上がってくる小林おじさんと出くわした。

小林おじさんは彼女に優しい笑みを向けた。「奥様、お目覚めですか。ご主人様がお食事をご一緒にとお待ちです」

佐藤絵里はうなずいた。

彼女は藤原青樹の向かい側に座り、ちらりと彼を見た。

昨夜の気まずい場面がまだ頭に浮かんでいた。

「随分早いのね」

「ああ」

二人とも多くを語らず、沈黙のまま食事を終えた。

佐藤絵里は時計を見て、「仕事に行かなきゃ」と言った。

「送るよ」藤原青樹はすでに用意していた車のキーを手に取った。

「実は…」...

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