第15章 標的

藤原青樹は一瞬黙り込んだ。

「誰と行くというんだ?」

奥様は目を白黒させ、呆れた様子で彼を指差した。

「誰と行くにしても、あんたよりマシよ!」

「絵里ちゃんを見てごらん。可愛くて、若くて、話し上手で、こんな子はどこへ行っても引く手あまただわ!」

「あんたとは大違い。一日中ろくに口も利かないし、笑顔の一つもないんだから」

小林おじさんは横で愛想笑いを浮かべながら、「大奥様、ご主人様も頑張っておられますよ...」

「何を頑張ってるって言うの?」

「小林さん、あなたまで彼の肩を持たないで!自分の孫がどういう人間か、この婆さんが一番わかってるんだから!」

「明日から、藤原青樹、あん...

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