第32章 二人の彼氏

このような状況に、佐藤絵里はもう慣れていた。

夏目嵐はバーに行くたびに、イケメンのホストを大勢指名する。

どこへ行っても例外なく。

男たちは佐藤絵里を見るなり、目がぱっと輝きを放った。

誰に言われるまでもなく、彼女の周りに集まってきた。

「絵里ちゃん、こっちおいで!」

夏目嵐は興奮して隣の席を叩きながら、彼女を呼んだ。

座ったばかりで、夏目嵐は身を寄せてきて、佐藤絵里の耳元で甘く笑った。

「気に入った人いない?いたらそのまま連れてっていいわよ、私のおごりだから!」

佐藤絵里はそれらの男たちを一瞥もせず、手早くグラスに酒を注いだ。

一口軽く飲んで、黙っていた。

「まさか!...

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