第52章 深夜のカーレース

ほんの一瞬ためらったものの、藤原陽太はすぐに得心がいった。

どうせ女だし、レースと言ってもドライブくらいの感覚なんだろう。こいつには違いなんて分かりっこない。適当に二周も流せば満足するだろう。

「じゃあ、まあ……いいけど」

陽太が渋々頷くと、佐藤絵里はスマートフォンをさっと操作し、顔を上げた。

「第二通りに、公道レースができる場所があるみたい。そこで試してみない?」

「あ、ああ、いいぜ。俺のダチも何人か呼んでいいか?」

「いいわよ」

絵里が席を立つと、陽太はすかさずスマートフォンのグループチャットを開き、メッセージを叩き込んだ。

『【緊急速報】今夜、奇跡的に美女ゲット! 第二...

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