第108章

あいつの厚顔無恥な言葉を聞いているだけで、胃の奥がぐらりと波打った。吐き気が、抑えきれない。

自分の血を分けた子どもですら、ためらいもなく「駒」として捨てられる人間が口にする『愛』なんて――下水の腐肉より、よほど胸糞が悪い。

私が口を開くより先に、少し離れた植え込みの陰から、裂けるような女の叫びが炸裂した。

『陸原紀川! この畜生!』

陸原園子だった。目は真っ赤で、白目には血走った筋が浮き、絶望が底まで溜まっている。

……つけてきたのだ。ここまで。

そしてさっきの、彼が彼女と子どもを切り捨てようとする、あの卑屈で醜い懇願を――全部、聞いた。

「――っ!」

乾いた音が響く。

...

ログインして続きを読む