第11章

それは事故じゃない。警告だ。

狙いは、私。

車内はしんと静まり返り、耳を支配するのはエンジンの唸りだけだった。

ひび割れが蜘蛛の巣みたいに広がった防弾ガラスを見つめる。指先が、氷みたいに冷たい。

陸原紀川が追い詰められて暴走した? ――違う。あの男はいま、私が見せてやった甘い夢にどっぷり浸かっている。

じゃあ、誰。

平岡麗子? あの女に、こんな頭も度胸もない。

となると――藤原聡の敵、か。

私がいること。私が藤原聡の婚約者になること。

もう嗅ぎつけられている。だからこれは、私への『洗礼』だ。

ふっと背もたれに身を預け、ゆっくり息を吐く。

……藤原家に嫁ぐ道は、私が思って...

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