第112章

廊下の突き当たり、集中治療室の前には黒服のボディガードがずらりと並んでいた。

藤原家の年長者たち。顔色を失った義母。そして目の下に赤い血管を浮かべた周防安富。

私が突然現れたせいで、全員が一瞬、動きを止める。

『花……? どうしてここに……?』

義母が早足で駆け寄り、私の手をぎゅっと掴んだ。目尻がみるみる赤くなる。

私は義母の顔を見た瞬間、胸の奥の酸っぱさに耐えきれなくなって、涙がぼろぼろ落ちた。

『お母さん……聡は? 聡は、どうなってるの……?』

厚いガラス越しに中を覗く。たった一目で、心臓が見えない手に引き裂かれたみたいに痛んだ。

ベッドの上で、藤原聡が静かに横たわってい...

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