第116章

「小村玉子! 相談してるんじゃない!」

焦りで声が跳ね上がり、怒気まで滲んだ。

「あなた、自分が今どれだけ危ない状況にいるか、全然分かってない!」

『白原様、呼ばれてしまって……先に失礼します。後ほど改めてご報告いたします』

彼女は私の言葉を慌ただしく遮り、そのまま通話を切った。

耳に残ったのは、冷え切ったツーツーという忙音だけ。

胸の奥の不安が、狂ったみたいに膨れ上がっていく。

小村玉子の頑固さが、どうしようもない無力感を連れてきた。

助けたいのだ。私の負担を少しでも減らしたいのだ。

けれど彼女は、自分が相手にしているのが――骨までしゃぶり尽くすような悪狼の群れだと分かっ...

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