第123章

月明かりを頼りに、私はそっと顔を上げた。眠っている彼の横顔を、静かになぞるように見つめる。

眉間はほどけ、眠っているのに――腕は相変わらず強引に、私の腰を抱き寄せたまま。

頬を彼の胸に寄せる。どくん、どくん、と落ち着いた鼓動が耳に届き、胸の奥が今までにない甘さと安心で満たされていく。

この人がいるなら、もう何も怖くない。

世界がどう変わろうと、私だけは守られている――そんな確信。

数日後。医療チームの総合判断を経て、藤原聡はようやく退院の許可が下りた。自宅で静養、という条件付きで。

別荘の主寝室に彼を寝かせ、眠りについたのを確認してから、私は仕事用のスーツに着替え、車で白原グルー...

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