第124章

叔父さんはにこにこと部屋へ入ってきた。けれど、その目つきは舌をちらつかせる毒蛇みたいに、音もなく私を値踏みしてくる。

私は目を細め、全身の神経が一瞬で張り詰めた。

『聡、こっちで急用。戻ったら話す』

声を落として電話口にそれだけ告げ、私は通話を切った。

スマホを伏せてテーブルに置き、隙のない営業スマイルを貼りつけて視線を合わせる。

『叔父さん、こんな遅くまで。まだお仕事ですか?』

叔父さんは勝手知ったる顔でソファに腰を下ろし、手の中で艶のある胡桃を二つ、くるくると弄びながら笑った。老獪な狐の笑み。

『いやぁ、花が戻ってきたって聞いてね。止まってた案件を、さっそく全部動かしたそう...

ログインして続きを読む