第127章

彼女はきっと確信しているのだろう。過去の恩を持ち出せば、藤原聡は必ず情にほだされる、と。

私は眉をつり上げ、向かいでのんびり粥をすすっている男を、笑っているようで笑っていない目で見た。

『藤原様ぁ、あちらは委屈してるんですって。一度会って、きちんと話をつけたいそうですよ』

藤原聡はスプーンを置き、奥行きのある黒い瞳をこちらに向ける。無垢を装った顔に、露骨な生存本能が滲んだ。

『俺は藤原奥様の言うことしか聞かない。会うなって言うなら、即ブロックでいい』

その従順さが可笑しくて、思わず笑みがこぼれた。

胸の奥に残っていた、ほんのわずかな酸っぱさも、すうっと霧散する。

私は立ち上がっ...

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