第139章

胸の奥が、どさりと沈んだ。

――あいつ、実家に戻ってなんかいない。

心配そうに私を見つめる二人の顔を見た瞬間、喉まで出かかった言葉を無理やり飲み込む。

藤原聡の今の体調で「家出した」と知られたら、藤原家は間違いなく大騒ぎになる。

「お義父さま、お義母さま……」

私はぎこちなく笑って、わざと軽い調子を作った。

「聡は……家で休んでます。今日は会社の用事が立て込んでて、会議が終わった帰りに、ちょっと顔を出しただけです」

「聡は頑固だからねえ。昨夜のこと、あなたに辛い思いをさせた」

義母が近づいてきて、痛ましそうに私の手を取る。視線は、包帯の巻かれた掌に落ちた。

「手、まだ痛む?...

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