第147章

『聡!』

声が震えた。私は反射的に、スマホを取ろうとした彼の手首をぎゅっと押さえる。『その体で、何がプライベートジェットよ。無茶しないで!』

藤原聡はぴたりと動きを止め、伏せた目で私を見た。薄暗い照明の下、さっきより顔色が白い。指先まで氷みたいに冷えている。

「国内でトラブルが起きた。引き延ばせない」

掠れた声。なのに眉間には、冷たく鋭い苛立ちが沈んでいた。

『でも、体はどうするの?』

私は彼の手を握り返す。胸の奥の不安が、蔓みたいに絡みついてくる。『こんなに冷たいし、顔色もひどい。ダメ、先に医者を――』

「いい」

彼は私の手を押さえ、顎を私の首筋に落とした。こつん、と軽く当...

ログインして続きを読む