第28章

藤原聡の横顔を見つめ、私は小さく口を開いた。

「藤原さん……ありがとうございました」

彼は視線を上げ、灯りの下で私を捉える。深い黒い瞳。口元に、意味の読めない弧が浮かんだ。

「投資対象のコンディションを維持するのは、投資家の義務だ」

あまりにも当然のように言うものだから、私は人間じゃなく、値札のついた商品扱いをされている気分になった。定期的に手入れして、価値を落とさないための「モノ」。

唇の端を引いて反論しようとした、その瞬間――腹の奥がきゅっと捻られ、言葉が喉の奥で潰れる。

ちょうどその時、年配の女性の家政婦が、湯気の立つ生姜湯を運んで入ってきた。

藤原聡はトレーごと受け取り...

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