第29章

通話履歴を確認すると、やはり昨夜の着信が一件残っていた。発信者は陸原園子。

陸原紀川の番号は私がブロックしている。だから彼は、妹の携帯を借りてかけてきたのだろう。

履歴を開く。通話時間は三分二十秒。

三分――それだけあれば、いろんなことが起きる。

胸の内で段取りを組み立て、スマホをポケットに戻すと、ドアを押して外へ出た。

階下のダイニング。長いテーブルの主座には藤原聡が座っていた。部屋着に着替えていて、仕事の場で見せる鋭さが少し薄れ、代わりに気だるい気品が漂う。

片手でタブレットを流し見しながら、もう片方でコーヒーをゆっくり口に運ぶ。巨大な床までの窓から落ちる朝の光が彼の輪郭を切...

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