第44章

翌日、私は不要不急の会議をすべて断り、定時前に会社を出た。

要するに、仕事をさぼったのだ。

向かったのは都心でいちばん格式の高いデパートだった。身体にいい品をいくつか吟味して選び、そのまま車で藤原家の旧邸へ向かう。

これはただ、協力関係を円滑に保つために必要な社交。

『婚約者』という役をきちんと演じる、その範囲内の行動にすぎない。

そう言い聞かせるのに、ハンドルを握る手は、説明のつかない小さな期待のせいで、わずかに強張っていた。

門前に車を停めると、藤原のお祖母様が満面の笑みで迎えに出てきた。後ろには執事が控えていて、私の手の土産を自然な所作で受け取っていく。

「来てくれるだけ...

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