第51章

白原秋穂の顔色が、さらに悪くなった。

林原雨子は彼女の腕を軽く引き、場にふさわしい笑みを浮かべたまま、白原秋穂を連れて後部座席へ乗り込もうとする。

――ドアに手が触れそうになった、その瞬間。

ずっと無言だった周防安富が、すっと腕を伸ばし、自然な所作で二人の動きを遮った。

「申し訳ございません。お二人とも」

周防安富の顔には相変わらず営業用の笑みが貼り付いている。けれど声は、ひどく冷たい。

「藤原様のご指示で、この車は白原様のためにご用意したものです。車内の広さも内装も、すべて白原様のお好みに合わせておりますので」

一拍置き、凍りついた林原雨子と白原秋穂の顔を視線でなぞる。相手が...

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