第53章

私は一歩前へ出る。青ざめた顔色の二人を視線でなぞり、言葉を区切って、はっきり告げた。

「隙を見て、私の縁談を潰そうとしてるのは分かってる。でも、いい加減にしなさい。今日ここに立っていられるのは、私が『機会』を与えたからよ。次があったら――今日みたいに、体面を保ったままこの店を出られる保証はしない」

言い終えると、二人にはもう目もくれない。踵を返し、ずっと静かに成り行きを眺めていた男のほうへ歩いた。

「決めた」

藤原聡の前で立ち止まり、顎を上げて見上げる。

「行きましょう」

藤原聡の瞳の奥の笑みが、わずかに濃くなる。

彼は手を差し出し、あまりにも自然に私の手を取った。指が絡み、十...

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