第57章

熱の残る大きな手が、氷みたいに冷えた私の手の甲に重なり、かすかに震えていた指先を掌の中へ包み込んだ。

その落ち着いた、芯のある温度が、恐怖の底へ沈みかけていた意識を、少しだけ引き上げてくれる。

「花」

藤原聡の声は低く、そして重い。言い聞かせるというより、揺るがない事実を置くみたいに。

「怖がるな。まだ推測にすぎない。何をするにも、証拠が要る」

顔を上げると、深い井戸のような眼差しがこちらを捉えた。そこに同情はない。あるのは冷静な分析と、折れない支えだけ。

――この人は、私の恐怖を見抜いている。そして今の私に必要なのが慰めじゃなく「足場」だと分かっている。

私は大きく息を吸い、...

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